2022/09/27 顧問先の皆様へ
特許訴訟裁判例短信(令和4年1月~令和4年3月)
特許訴訟裁判例短信(令和4年1月~令和4年3月)
弁護士 森本晃生
令和4年1~3月に出た特許訴訟の裁判例から注目すべきものをご紹介いたします。
1.審査過程における審査官の発明理解は、裁判所の発明の技術示範囲画定判断を拘束しない
特許発明の内容について、審査段階での出願人の主張は、いわゆる包袋禁反言(審査過程禁反言)として、特許権侵害訴訟において特許権者の主張を信義則上拘束することになりますが、特許査定及び登録が、公衆との対世的関係においては、それまで自由に当該発明を実施しえたはずの公衆の権利を制限する、行政法上の侵害処分である以上、審査段階に置ける審査官の理解は、特許権侵害訴訟において裁判所の判断を拘束しません。
この点を判示する裁判例が出ました。当該事件において、裁判所は、特許発明の課題とその解決原理に照らして用語の語義を確定しております。
知財高判令和4年1月13日令和3年(ネ)第10031号
(第3部 東海林保裁判長/41期)
そもそも特許発明の技術的範囲の画定は,特許請求の範囲の記載に基づいて定められるが,特許請求の範囲に記載された用語の意義の解釈は明細書及び図面を考慮して行われるのであって(特許法70条1項及び2項参照),特許出願の審査過程において,審査官がその特許発明をどのように理解していたかということは,裁判所の特許発明の技術的範囲の画定の判断を拘束するものではない。
・・・いずれの意見書においても,本願発明がシステムLSIに用いられて効果を生ずることを明確に述べており,このような段階を踏まえて本件特許が登録されたものである。
したがって,仮に,審査官が,拒絶理由通知を発出する際に,特許請求の範囲に記載された発明の要旨認定において,「半導体集積回路装置」を,その一般的な字義どおりに,DRAMを含む半導体集積回路装置全般と解釈しており,また,出願人の意見書において,本願発明と引用発明の相違点として、本願発明はシステムLSIであるのに対して引用発明はシステムLSIではないことが明示されていなかったとしても,それに基づいて,本件発明の「半導体集積回路装置」にシステムLSIではないDRAM自体が含まれるということはできない。
2.医薬の用途発明についての実施可能性要件の判断基準
特許侵害訴訟における無効理由の抗弁において実施可能性要件違反が認められることは稀ですが、医薬の用途発明において、実施可能性要件を満たすためには、当該用途での有用性につき当業者が理解できるような薬理試験結果を明細書に記載する必要があると判示して実施可能性要件違反を認定した裁判例が現れました。
東京地判令和4年1月19日令和2年(ワ)第19920号・令和2年(ワ)第22284号
(民事第40部 佐藤達文裁判長/44期)
・・・医薬の用途発明においては,一般に,物質名,化学構造等が示されることのみによっては,当該用途の有用性及びそのための当該医薬の有効量を予測することは困難であり,当該医薬を当該用途に使用することができないから,医薬用途発明において実施可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明は,その医薬を製造することができるだけでなく,出願時の技術常識に照らして,医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載される必要がある。・・・
医薬の用途発明においては,一般に,物質名,化学構造等が示されることのみによっては,当該用途の有用性を予測することは困難であり,当該医薬を当該用途に使用することができないから,医薬の用途発明において実施可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明にその医薬の有用性を当業者が理解できるような薬理試験結果を記載する必要があるが,前記判示のとおり,本件明細書等には,本件化合物が神経障害性疼痛又は心因性疼痛による痛覚過敏又は接触異痛の痛みの治療に有効であると当業者が理解し得るような薬理試験結果の記載は存在しない。・・・
上記各文献は,本件の技術分野に属する専門家により執筆されたものであり,その当時の技術常識を反映した書籍であるというべきところ,上記に摘示した各記載によれば,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛及び心因性疼痛は,その発症原因,痛みの態様・程度及び治療方法がそれぞれ異なるというのが本件特許出願当時の技術常識であり,痛みの種類を問わず,痛覚過敏又は接触異痛などの痛みの発症原因や機序は同一であり,いずれかの種類の痛みに対して有効な医薬品であれば,他の種類の痛みに対しても有効であるとの技術常識が存在したということはできない。
・・・以上によれば,本件化合物が神経障害又は心因性による痛覚過敏又は接触異痛の痛みの治療に有効であることを示す薬理試験結果の記載もなく,本件明細書等の記載に接した当業者が,本件化合物がこれらの痛みの治療に有効であると認識し得たとは考えられない。
この事件の控訴審は、上記を敷衍して、次のように判示しました。
知財高判令和4年7月13日令和4年(ネ)第10028号
(第4部 菅野雅之裁判長/37期)
・・・特定の用途に供する物の発明について実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明の記載が、当業者において、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、当該発明に係る物を当該用途に使用等することができる程度のものでなければならない。
そして、医薬用途発明においては、一般に、物質名、化学構造等が示されることのみによっては、その有用性を予測することは困難であり、発明の詳細な説明に、医薬の有効量、投与方法等が記載されていても、それだけでは、当業者において当該医薬が実際にその用途において使用できるかを予測することは困難であるから、当業者が過度の試行錯誤を要することなく当該発明に係る物を使用することができる程度の記載があるというためには、明細書において、当該物質が当該用途に使用できることにつき薬理データ又はこれと同視することができる程度の事項を記載し、出願時の技術常識に照らして、当該物質が当該用途の医薬として使用できることを当業者が理解できるようにする必要があると解するのが相当である。
3.特許権に非実施共有者がある場合の実施共有者による損害全額の賠償請求の当否
かかる特許権について、一方の共有者のみが侵害者に対して損害賠償請求する場合、知財高裁の裁判例は、特許法102条2項による損害額算定については、非実施共有者の受けるべき実施料相当額分、相当因果関係が覆滅されると判示してきました(知財高判平成30年11月20日判時2413・2414合併号136頁、知財高判令和2年9月30日令和2年(ネ)第10004号)が、特許法102条1項による損害額算定の場合には、非実施共有者の受けるべき実施料相当額を控除しないとする裁判例が現れました。
この裁判例は、傍論ながら、特許法102条2項による損害額算定における非実施共有者の受けるべき実施料相当額分の控除についても上記裁判例と別の理由づけ(侵害者利益を上回る賠償負担防止)をし、非実施共有特許権者の損害賠償請求権について消滅時効が完成している場合には、非実施共有者の受けるべき実施料相当額を覆滅事由としない余地があるとしました。この点は、立論及び結論共に疑問であり、不法行為法の論理を逸脱して特許法102条2項をあたかも準事務管理の規定としてとらえるかのようですので、他の裁判例に継承されるか、注視が必要と思われます。
また、本判決の論理に従うと、共有特許権者A(実施)及びB(持分比S%、非実施)が共同で侵害訴訟を提起し、他に共有特許権者がいない場合、実施料相当額をRとして、請求可能額は以下のとおりです。
|
主張1 |
主張2 |
主張3 |
A請求額 |
102条1項による推定額 |
102条2項による推定額-S%xR |
(100-S)%xR |
B請求額 |
S%xR |
||
Total |
102条1項による推定額+S%xR |
102条2項による推定額 |
R |
知財高判令和4年3月14日平成30年(ネ)第10034号
(第4部 菅野雅之裁判長/37期)
共有に係る特許権であっても、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除いて他の共有者の同意を得ることなく特許発明の実施をすることができる(特許法73条2項。なお、本件では、控訴人が●●●●●●との間で実施割合に関する特段の合意をしたと認めるに足りる証拠はない。)ところ、特許法102条1項により算定される損害については、侵害者による侵害組成物の譲渡数量に特許権者等がその侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額を乗じて算出される額には、特許権の非実施の共有者に係る侵害者による侵害組成物の譲渡数量に応じた実施料相当額の損害が含まれるものではなく、その全部又は一部に相当する数量を特許権者等が販売することができないとする事情にも当たらないから、後記の同条2項による損害の推定における場合と異なり、非実施の共有者の実施料相当額を控除することもできない。
・・・特許法102条1項1号の「その全部又は一部に相当する数量を当該特許権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情」としては、侵害品である被告製品と原告製品2の価格差、被控訴人によるサポート面や協力態勢の面で●●●社との間との一定の信頼関係の構築、被告製品と原告製品2の性能面の差異といった事情があると認められる。
ところで、特許法102条1項2号は、括弧書で「特許権者…が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾…をし得たと認められない場合を除く。」と規定するところ、この括弧書部分は、特定数量がある場合であってもライセンスをし得たとは認められないときは、その数量に応じた実施相当額を損害として合算しないことを規定するものであると解される。
これを前提として本件についてみると、特許法102条1項1号に規定する特定数量に該当するとされた事情は、上記のとおりであるところ、被告製品と原告製品2の性能面の差異については、その性質上、控訴人が被控訴人にライセンスをし得たのに、その機会を失ったものとは認められないが、被控訴人の営業努力等に関わる点については、本件発明の存在を前提にした上でのものというべきであるから、控訴人が被控訴人にライセンスをし得たのに、その機会を失ったものといえる。
・・・
本件特許権は、控訴人及び●●●●●●の共有に係るものであり、前記(4)オで説示したとおり、●●●●●●は、少なくとも本件侵害期間中において本件特許権を実施していない。
ところで、特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる(特許法73条2項)。本件では、控訴人が●●●●●●との間で実施割合に関する特段の合意をしたと認めるに足りる証拠はないから、本件特許権の共有者である控訴人は、共有持分割合に応じて特許法102条2項により推定される損害の按分割合に応じた損害賠償を請求することができるにすぎない旨の被控訴人の主張は理由がない。
他方で、実施料に相当する損害は、特許権の実施の有無にかかわらず請求することができるから、特許権を共有するがその特許を実施していない共有者であっても、その特許が侵害された場合には、特許法102条3項により推定される実施料相当額の損害賠償を受けられる余地があるところ,仮に、同条2項により推定される全額を共有に係る特許権を実施する共有者の損害額であると推定されると、侵害者は実際に得た利益以上に損害賠償の責めを負うことになることからすると、共有に係る特許権を実施する共有者が同条2項に基づいて侵害者が得た利益を損害として請求するときは、同条3項に基づいて推定される共有に係る特許権を実施していない共有者の損害額は控除されるべきである。そして、侵害に係る特許権が共有に係るものであるといった事情は、同条2項により推定される損害の覆滅事情に当たるものであるから、侵害者がその立証責任を負うというべきである。
・・・控訴人の被控訴人に対する損害賠償請求権と、●●●●●●の被控訴人に対する損害賠償請求権は、いずれも金銭債権であって可分であり、可分債権である●●●●●●の損害賠償請求権が時効により消滅したからといってその損害賠償請求権があたかも復帰的に控訴人に帰属したかのように控訴人がこれを行使することができるわけではないから、控訴人が●●●●●●の被控訴人に対して有する損害賠償請求権を援用することができる正当な利益を有する者ではなく、控訴人の上記主張は明らかに失当である。
もっとも、●●●●●●の特許法102条3項に基づく損害賠償請求権が時効により消滅している場合には、被控訴人は、これを援用することにより、その支払を免れることができるのであるから、いわゆる二重払いにより、実際に得た利益以上に損害賠償の責めを負うことになるリスクは生じないし、このような特殊事情がある場合にまで、特許権侵害により得た利益の留保を被控訴人に許すことは、法の趣旨に照らし相当とはいえないというべきである。
・・・●●●●●●の特許法102条3項に基づく損害賠償請求権が時効により消滅している場合には、その実施料相当額を覆滅事由として控除しないと解する余地がある・・・
4.国外に設置されているサーバと日本国内のユーザ端末を構成要素とするシステムの完成は、日本国内における「生産」に該当するか
ネットワークシステムであっても、「生産」について特許権行使するためには、構成要件全部が日本国内で新たに作り出されることを要求する裁判例が現れました。
日本ユーザ向けネットワークシステムも、国外に設置されたサーバを利用するものが多くなっているところ、本裁判例の考えに従うと、ネットワークシステムに対する権利行使は、「譲渡」についても構成要件全部が日本で譲渡されることを要求される危険があり、「使用」についてはなお直接侵害の余地があるとも考えられますが、基本的には間接侵害の主張の方が安全ということになりそうです。
東京地判令和4年3月24日令和元年(ワ)第25152号
(民事第29部 國分隆文裁判長49期)
物の発明の「実施」としての「生産」(特許法2条3項1号)とは、発明の技術的範囲に属する「物」を新たに作り出す行為をいうと解される。また、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味する属地主義の原則(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁、最高裁平成12年(受)第580号同14年9月26日第一小法廷判決・民集56巻7号1551頁参照)からは、上記「生産」は、日本国内におけるものに限定されると解するのが相当である。したがって、上記の「生産」に当たるためには、特許発明の構成要件の全てを満たす物が、日本国内において新たに作り出されることが必要であると解すべきである。
・・・被告サービス1により日本国内のユーザ端末へのコメント付き動画を表示させる場合、被告サービス1が前記(1)ウ(ア)の手順どおりに機能することによって、本件発明1の構成要件を全て充足するコメント配信システムが新たに作り出されるとしても、それは、米国内に存在する動画配信用サーバ及びコメント配信用サーバと日本国内に存在するユーザ端末とを構成要素とするコメント配信システム(被告システム1)が作り出されるものである。
したがって、完成した被告システム1のうち日本国内の構成要素であるユーザ端末のみでは本件発明1の全ての構成要件を充足しないことになるから、直ちには、本件発明1の対象となる「物」である「コメント配信システム」が日本国内において「生産」されていると認めることができない。
・・・特許法2条3項1号の「生産」に該当するためには、特許発明の構成要件を全て満たす物が日本国内において作り出される必要があると解するのが相当であり、特許権による禁止権の及ぶ範囲については明確である必要性が高いといえることからも、明文の根拠なく、物の構成要素の大部分が日本国内において作り出されるといった基準をもって、物の発明の「実施」としての「生産」の範囲を画するのは相当とはいえない。そうすると、被告システム1の構成要素の大部分が日本国内にあることを根拠として、直ちに被告システム1が日本国内で生産されていると認めることはできないというべきである。
5.独占禁止法違反による権利濫用を認定して特許権行使不能とした原審判決を覆した例
リコー事件東京地裁判決は、製品のIC 書換え防止措置により、当該チップを取り換えて特許権を侵害しない限り、リフィル製品の競争に必要な機能(特許発明とは無関係)を利用不能としたとの事実認定の下に、当該特許権の行使ができないとした点で注目されましたが、その控訴人判決は、事実認定とその法的評価を異にすることで、結論を覆しました。詳細についてはパテント誌に評釈を投稿中です(不採用の場合には追って本サイト等で公開いたします。)。
知財高判令和4年3月29日令和2年(ネ)第10057号
(第1部 大鷹一郎裁判長/35期)
・・・再生品が装着された原告プリンタは、トナー残量表示に「?」と表示され、残量表示がされず、予告表示がされない点で純正品の原告製品が装着された原告プリンタと異なるが、再生品が装着された場合においても、トナー切れによる印刷停止の動作及び「トナーがなくなりました。」等のトナー切れ表示は純正品が装着された場合と異なるものではなく、印刷機能に支障をきたすものではないこと、再生品が装着された原告プリンタにおいても、トナー残量表示に「?」と表示されるとともに、「印刷できます。」との表示がされるので、再生品であるため残量表示がされないことも容易に認識し得るものであり、ユーザーが印刷機能に支障があるとの不安を抱くものとは認められないこと、ユーザーは、残量表示がされないことについて予備のトナーをあらかじめ用意しておくことで対応できるものであり、このようなユーザーの負担は大きいものとはいえないことを踏まえると、残量表示がされない再生品と純正品との上記機能上の差異及び価格差を考慮して、再生品を選択するユーザーも存在するものと認められる。
一方、リサイクル事業者においては、残量表示がされないことについてユーザーが不安を抱くことを懸念するのであれば、再生品であるため残量表示がされないが、印刷はできることを表示することによって対応できること、電子部品の形状を工夫することで、本件各発明1ないし3の技術的範囲に属さない電子部品を製造し、これを原告電子部品と取り替えることで、本件各特許権侵害を回避し、残量表示をさせることは、技術的に可能であり、●●●●●●●●●●からすると、原告プリンタ用のトナーカートリッジの市場において、本件書換制限措置によるリサイクル事業者の不利益の程度は小さいものと認められる。
・・・控訴人は、本件書換制限措置を行った理由について、原告電子部品に本件書換制限措置が講じられていない場合には、原告プリンタに自ら品質等をコントロールできない第三者の再生品のトナーの残量が表示され、残量表示の正確性を自らコントロールできないので、このような弊害を排除したいと考えて本件書換制限措置を講じたものである旨を主張し、経営戦略として、原告製プリンタに対応するトナーカートリッジのうち、ハイエンドのプリンタ・・・に搭載された原告電子部品を選択した旨を述べていること・・・、その理由には、相応の合理性が認められること、上記のとおり、本件各特許権侵害を回避した電子部品の製造が技術的に可能であることを併せ考慮すると、控訴人が本件書換制限措置がされた原告電子部品を取り替えて使用済みの原告製品に搭載した被告電子部品について本件各特許権を行使することは、原告製品のリサイクル品をもっぱら市場から排除する目的によるものと認めることはできない。
・・・控訴人が本件書換制限措置という合理性及び必要性のない行為により、被控訴人らが原告製品に搭載された原告電子部品を取り外し、被告電子部品に取り替えることを余儀なくさせ、上記消尽の成立を妨げたものと認めることはできない。
・・・控訴人が、被控訴人らに対し、被告電子部品について本件各特許権に基づく差止請求権及び損害賠償請求権を行使することは、競争者に対する取引妨害として、独占禁止法(独占禁止法19条、2条9項6号、一般指定14項)に抵触するものということはできないし、また、特許法の目的である『産業の発達』を阻害し又は特許制度の趣旨を逸脱するものであるということはできないから、権利の濫用に当たるものと認めることはできない。